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ヱビス図鑑
改めて探報するヱビスの通ってきた道 vol.2
ヱビスの缶の物語

3ヱビス図鑑〜改めて探報するヱビスの通ってきた道〜 vol.2

暖かくなりましたね。お花見やアウトドアでのキャンプやBBQはもちろん、ご家庭でも休日のベランダでちょっとヱビスビールなんていう機会が増えるかと思います。そんな時、皆さんが飲まれるのは缶のヱビスがほとんどかと思います。何気なく手に取っていただいている缶ですが、なかなか興味深い歴史があります。

缶ビールが発明されたのは1935年のアメリカです。当時はスチール缶で形状も現在のものとは随分違っていたようです。日本でもその頃から研究が始められていましたが、実際に発売されたのは1958年。スチール缶で、現在のようなプルトップは当然なく、缶蓋に直接穴を開けて飲みました。そんな不便さや「缶は瓶より美味しくない」といった噂も流れ、なかなか売上が伸びませんでした。
現在は市場の70%以上を占める缶ですが当初は数%という状況でした。それがなぜ主流となったのか?

ひとつは製缶技術の進歩です。アルミ缶への移行、プルトップの採用と改良。瓶より不便だった缶は、逆に手軽で便利な存在になりました。

もうひとつの理由は、販売形態の変化です。缶ビールが発売された昭和の頃、お酒類は酒屋さんでしか買えませんでした。酒屋さんが御用聞きして配達。アニメのサザエさんの食卓を思い出してください。波平さんとマスオさんが嗜むのは瓶ビール。その瓶ビールは三河屋のサブちゃんが配達し、瓶の回収もしています。重い瓶やビールケースの移動もご家庭に特に不便はありません。このスタイルがごく普通だったので、あえて缶ビールを選ぶ必要はありませんでした。

そんなスタイルに変化があったのは自動販売機の普及です。自動販売機で扱いやすいのは缶。そして更にスーパーやコンビニなど酒屋さん以外でもお酒が買えるようになったことで、コップも栓抜きもいらず手軽に飲める缶ビールが急速にシェアをアップし、現在に至っているのです。

缶ビールの過去を知っていただいたところで、今度は皆さんがお馴染みのヱビスビールの金色の缶についてのお話です。デザインの変遷はもちろん、缶そのものの変化にもご注目ください。

3ヱビス図鑑〜改めて探報するヱビスの通ってきた道〜 vol.2
1972年缶写真

製造が中断していたヱビスビールが復活したのが1971年。その翌年の1972年から缶が発売されます。当時はまだスチール缶で、地色も金というより茶褐色に近い色合いでした。ヱビスビールの顔とでも言うべき恵比寿様はこちらにもいらっしゃいます。

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1984年缶写真

1984年には白地に瓶用のラベルを貼り付けたようなデザインを採用。他の時代の缶と比べると雰囲気がかなり違いますね。

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1985年頃缶写真

1980年代にはリブランディングを敢行し、恵比寿様のデザインもシャープに。この頃より「Premium」という文字がデザインされています。

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1990年頃写真

1990年頃の缶の下部に恵比寿様と馴染みの深い、海を思わせる青海波の図案を配し、やや華やかな印象になりました。

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1991年缶写真

1991年には大きなデザイン変更があります。恵比寿様がリアルな描写に変わり、ロゴがクリーム色に。また、アーチ状の飾り文字を入れることで、クラシックでトラディショナルな印象になりました。

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2009年缶写真

2009年の缶です。注目していただきたいのは、缶のネック部分。それまであった段々がスムーズになっています。これ、実は段々がなくなったのではなく、細かく16段になっているのです。ぱっと見にはわかりませんよね。また、地色の金もより濃度感のあるしっかりとした色になっています。

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2016年缶写真

2016年の変更ではロゴを焦げ茶のフォントに変更し、モダンで引き締まった印象に。恵比寿様もより目立つよう大きくして配置されています。

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現行缶写真

そして、2021年にリニューアルされたのがこちら。恵比寿様がより大きくなり、今まで恵比寿様の横にレイアウトされていた発売年度は、より目立つロゴ下に赤字で表記されるように。ヱビスの長い歴史と東京生まれという出自を高らかに謳うデザインになりました。

デザインの変遷を見ていただいたところで、缶のディテールについていくつかご紹介します。

缶の秘密① 恵比寿様

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発売以来、ずっと描き続けられている恵比寿様はより目立つように大きくなり、衣の色もクリーム色から淡いゴールドにリフレッシュ。「実はだいぶ前ですが、当時手書きだった恵比寿様をデジタルデータに起こした際、歪みを取り、クッキリとした目鼻立ちに変わっています」(担当デザイナー)。明治27年に御分霊を東京目黒のビール工場に勧請して以来、ヱビスビールはえびす宮総本社の西宮神社との関係も深いのです。西宮神社の社紋は柏紋ですが、恵比寿様の胸に入っているのは蔓柏紋。同じものではなく微妙に違う紋を採用した理由は今となっては不明です。

缶の秘密② 金の地色

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1980年代にデザインをリフレッシュした際にプレミアムビールとしての高級感を視覚的に訴求するために全面に金を採用して以来、続いているゴールドのカラー。当初は印刷技術の関係で赤みの強い色合いでしたが、現在はヱビスビールの液色を思わせる濃度感のある金色になっています。また、近年ではマットニスを採用し、より落ち着きがある色合いに。ちなみにロットごとの色ブレも厳格にチェックされています。

缶の秘密③ ロゴ

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2016年にデザイン変更をおこなった際にクリーム色にフチ影付きのフォントから焦げ茶で影付きのシャープなロゴに変更。ベースに使用しているフォントはTrajanですが、モダンに見えるようにセリフの形状を変更するなど、細かな改良が施されています。「カラーと形状を変更したことで、商品と印刷物で同じロゴを使えるようになり、ブランドとしての統一感を強調できるようになりました」(担当デザイナー)。

缶の秘密④ 英文

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イタリック体で書かれた英文には、良質なモルトとホップを使い伝統的な手法で造られたビールであることが記されています。ちなみにその上に書いてあるPremiumの文字は80年代のデザイン変更の際に記載されるようになったもの。「ヱビス、ちょっと贅沢なビール♪」のCMキャッチコピーでもお馴染みなように、味わいの面でもデザインの面でも国産ビールのなかで「プレミアム」を謳ったビールの先駆けでもあります。

ヱビスビールの缶のデザインは「気に入っているから、なるべく変えないでくれ」という声が上がるくらい皆さんからから親しまれている存在です。しかし、実は少しずつ毎年のように変化をしています。ビールそのものと同様、デザインはもちろん、缶そのものも製缶技術や印刷技術の進歩に合わせてその時代のベストを目指しています。「2021年のリニューアル時、お客様からは『変わったとは気づかなかった』という声もいただきましたが、それはある意味で私たちにとっては成功」(担当デザイナー)。

今度、金色の缶を手に取られた時、この記事を思い出しながらちょっと缶を見つめていただけると嬉しいです。

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