ヱビスビアタウン(YEBISU BEER TOWN)

第4回ヱビスビアカレッジ講義レポート
第4回ヱビスビアカレッジの講義は、ヱビスの醸造家・開発担当者がビールにまつわる20の質問にお答え

ヱビスビアタウンの人気コンテンツである住民学びの場、ヱビスビアカレッジが12月6日(水)に第4回を開講しました。今回は「あなたのビールにまつわるギモンに答える!ヱビスの醸造家・開発担当者に聞く20の質問」がテーマ。ビアカレッジにて、事前に募集したご質問にヱビスの醸造家・開発担当者がお答えしました。
本記事では20の質問のうち、いくつかの質問と回答をピックアップしてご紹介。
さらに、講義内ではお伝えしきれなかったビールにまつわる疑問についてもお聞きしました。レポート記事末尾では、講義内でご紹介したオランジェを使ったカクテルレシピも掲載しています。

第3回ヱビスビアカレッジ講義レポートはこちら

第2回ヱビスビアカレッジ講義レポートはこちら

第1回ヱビスビアカレッジ講義レポートはこちら

プロフィール

有友 亮太
サッポロビール株式会社
Chief Experience Brewer
2012年サッポロビール入社。サッポロビール北海道工場でビール醸造を担当した後、研究所にて酵母の研究に取り組む。その後、ドイツへ留学し、Brewmaster(ブリューマスター)の資格を取得。帰国後は新商品開発や研究を行う。2024年4月開業予定の「YEBISU BREWERY TOKYO」の醸造を担当することが決定している。
森川 莉名
サッポロビール株式会社
ヱビスブランド商品開発担当
2017年サッポロビール入社。新価値開発部にてビールの新商品企画開発に携わった後、現在のビール&RTD事業部に配属。現在はヱビスブランドの商品全般を担当している。

細かい泡のビールほど、高い品質の証!

有友さん:原料による差が原因です。ビールに使用される麦芽に含まれるたんぱく質、およびホップに含まれる苦味成分がこの泡に寄与しています。これらは疎水性(水と仲が悪い成分)をもつので、グラスに注ぐと液面に集まり泡を形成します。ビールでは細かい泡ほど品質の良いものとされていますので、ぜひグラスに注いで確認してみてください。日本酒に含まれている米にもタンパク質が含まれていますが、麹がタンパク質を分解してうまみになるアミノ酸になってしまうため、泡が立ちにくかったりします。

森川さん:ビールは泡が特有なところもあるので、泡をしっかり楽しんでもらいたいですね。

——なぜビールではきめ細かい泡ほど品質が良いとされているのでしょう?

有友さん:泡のきめが細かいほど泡持ちはよくなり、ビールの香りや炭酸ガスを封じ込め、酸化を防ぐ効果が長持ちします。また、泡が細かいほど口当たりも滑らかになります。よくビールの泡でひげができたりしますが、あれも泡が細かく泡持ちがよいからこそのものです。

——ビールの種類によっても泡の立ちやすさに違いはあるのでしょうか。

有友さん:違いはあります。小麦や小麦麦芽を使用したビールは、大麦麦芽100%のビールよりもより泡が立つ傾向にあります。小麦麦芽を使用したビールの代表格として「ヴァイツェン」というビールがありますが、ろ過せず濁っているものと、ろ過をして透き通っているものの2種類があります。濁りの成分となるたんぱく質や酵母が含まれるほど泡持ちがよくなるため、ろ過しないタイプのほうが泡持ちはよいとされています。

有友さん:手前味噌ですが、ヱビス プレミアムブラックが好みです。黒ビールはゆっくり飲めますのでよく好んで飲みます。他社商品やクラフトビールも勉強のためによく飲みますが、特に新規の原料を使っているビールは飲んでみたいなとなりますね。あとはHazy IPAを好んで飲むことも多いです。

炭焼きされた特別な麦芽「プレミアムロースト麦芽」(※一部使用)が醸し出す芳醇なコクが特徴の「ヱビス プレミアム ブラック」。

——IPAとはどのようなビールなのでしょうか。

有友さん:India Pale Ale(インディア・ペール・エール)の略で、18世紀ごろに英国で生まれたビアスタイルです。イギリスからインドへの航行にビールを持っていけないかと、苦み成分が防腐剤の役割も果たすホップをたくさん使用したビールを醸造したことがきっかけだと言われています。色調がやや濃く赤みがかっており、ホップの使用量が多いことからやや苦めの味が特徴となっています。ホップの特徴が反映されやすいビアスタイルのため、各国で様々なホップを使用したIPAが醸造されており、ホップの品種による香りや味の違いを感じられるビアスタイルのひとつとなっています。
なかでもHazy IPAは見た目が白く濁っていて、ホップを大量に使用して作られるビアスタイルです。ドライホッピングという方法でホップが添加されており、ホップの特徴を香りでも味でも感じられるジューシーな味わいが好みです。

森川さんお気に入りの「ヱビス プレミアムエール」、「ヱビス プレミアムホワイト」、飲食店限定で提供をおこなっている「白穂乃香」。

森川さん:私は華やかな香りがするビールが好きなので、ヱビス プレミアムエールがお気に入りです。プレミアムエールは柑橘系の香りが特徴のホップを一部使用した濃密な香りのビールで、余韻を感じながらゆったり楽しめるので、映画やテレビをみながら飲んだりしています。あとは小麦麦芽を使ったホワイトビールが好きで、少し前に限定発売したヱビス プレミアムホワイトや、飲食店限定で提供している白穂乃香というビールがお気に入りです。お酒を飲み始めた頃はビールが得意ではなかったのですが、そんな時ホワイトビールを勧められて、飲んでみたらすごく美味しくて。ビールを楽しめるきっかけを作ってくれたのがホワイトビールでした。そこから今もなおホワイトビールが大好きです。

有友さん:ホワイトビールは軽い味のものが多くて、ドイツでは食前に飲むビールなんですよね。ビールに慣れてない方や、濃いビールが得意じゃない方にとってはすごくいいビールのスタイルですね。

グラスによっても変わるビールの味わい

有友さん:ビアスタイルによって最適といわれるグラスが提案されており、ベルギービールに至っては各醸造所でグラスが決まっているほど。ヱビスにもヱビスタンブラーという専用グラスがあります。「ヱビスカーブ」という独自のグラスのカーブがついており、スムーズにビールの液が口の中に入ってきて、舌全体でビールの味を楽しむことができるグラスです。口の厚さでも口当たりが変わってくるので、すっきりしたピルスナータイプであれば薄口、黒ビールなどのどっしりした味わいであればやや厚めのグラスの方がそれぞれの特徴がより感じられ、また、飲むペースにもあっています。グラスの材質でも味わいや泡の立ち方や手触りが変わり、味わいの感覚が違ってきますので、楽しみの幅が拡がります。

——なぜグラスの厚さが変わると口当たりも変わるのでしょうか。

有友さん:東京大学・北海道大学・中央大学の共同研究で、グラスの厚さと味覚に関する研究報告がされています。たとえば緑茶は、厚いグラスで飲むほうが薄いグラスよりも甘く感じる一方、薄いグラスは厚いグラスと比べて苦く評価され、グラスの厚さによって飲む人が感じる味に影響を与えるとのこと。また、口当たりについては、グラスの厚さによって唇に接触するグラスの面積が異なる点が影響しているようです。一度に口内に流れ込む液体の量が変化すると、飲むスピードや味の感じ方も変化すると考えられています。

左はヱビスカーブが特徴の「ヱビスタンブラー」、右は香りを楽しめるよう口が広く作られているグラス。

森川さん:口が狭いグラスと口が広いグラスのどちらがよいのか、視聴者からご質問をいただいています。

有友さん:口が広いグラスのほうが香りを楽しむことができます。たとえばエールタイプのヱビス オランジェは、飲むときに鼻も入るようなワイングラスぐらいのグラスの方が楽しみやすいのかなと思います。

講義中では話題がオランジェに及ぶと、オランジェのCM(ヱビス「クリエイティブブリュー#02オランジェ」プロダクトムービー)も流れました。朝5時半から撮影したというこのCM。出演した有友さんによると、セリフがどうしても関西弁のイントネーションになってしまいなかなかOKが出ず、結果的に棒読みになったことなど、撮影秘話を語っていただきました。

寒い時期におすすめの鍋×ヱビスのマリアージュ

森川さん:鶏白湯などの、濃厚でまろやかな味わいの鍋がおすすめです!ちょうどこの前キャンプに行き、オランジェと鶏白湯鍋を食べたので、そのときの写真を載せていますが、オランジェの濃醇な味わいが、よりスープのうまみを引き立たせてくれます。

キャンプが大好きだという森川さん。寒い日に鍋を囲みながら、オランジェで乾杯!

有友さん:他のヱビスだと、金のヱビスビールには、水炊きがあいますね。金ヱビスの王道のコクに、鶏のシンプルなうまみと脂がマッチします。プレミアムブラックにはトマトのうまみがぎっしり楽しめる牛肉や豚肉を使ったトマト鍋や、まろやかな豆乳鍋があいます。黒ビールの甘みやコクと相性が良いです。プレミアムエールには醤油系のもつ鍋がおすすめ。もつの脂を流し込みながらも、エールの華やかな香りがにんにくや唐辛子のスパイスによくあいます。

森川さん:プレミアムエールには、レモンやかぼすなどを使った柑橘系の鍋もおすすめですね。エールの濃密な柑橘香とマッチすると思います。

森川さん:オランジェは黒ビールとの相性がいいと思っています。オランジェとプレミアムブラックを3:1ぐらいの割合で入れます。さらに泡の上に少しココアパウダーをかけていただくとより一層おいしくなるので試していただきたいです。以前YEBISU BARで、プレミアムブラックにあまおう苺とココアを使った「ショコラブラック」というビアカクテルが期間限定で発売されていました。泡にココアパウダーがまぶされており、ほのかな甘さとほろ苦さがとてもマッチしていて忘れられないくらい美味しくて。オランジェもチョコ系との相性が抜群なので、それを参考に黒ビールとココアを入れて試してみました。期待以上においしかったので、ぜひみなさんにも試してもらいたいです。そのほかにも、オランジェにジンジャーエールを入れてオレンジシャンディガフにするのもおいしいです!

有友さん:私も黒ビールと相性はいいと思っています。ブラックペッパーとかシナモンとかスパイス系を入れてみるのも、オレンジの甘さとの相性が引き立っていいのかなと思います。

森川さん:シナモンスティックを混ぜてもよさそうですね。

オランジェ×ヱビス
プレミアムブラックのレシピ

材料
  • ヱビス オランジェ(適量)
  • ヱビス プレミアムブラック(適量)
  • ココアパウダー(適量)
  1. オランジェをグラスに2/3程度注ぐ。
  2. その上から、なるべく泡ができるようにプレミアムブラックをグラスいっぱいになるまで注ぐ。
  3. 泡の上にココアパウダーを少し振りかけて完成。

あっという間の45分の講義。ビールを知り尽くしているふたりならではのビールにまつわる深いお話は尽きません。2024年4月開業予定の「YEBISU BREWERY TOKYO」や第5回ヱビスビアカレッジの講義も楽しみに待ちながら。ヱビスで乾杯!

その他の質問は以下の動画から見ることができます。

第4回ヱビスビアカレッジ 動画全編はこちら

タイムテーブル
10:00 オープニングトーク・乾杯
13:10 Q&Aコーナー 前編
38:20 “ヱビス オランジェ”のCMと撮影秘話
41:30 Q&Aコーナー 後編
55:10 クロージングトーク