ヱビスフォト

ken_pro
2024/06/25 06:24

読書のあとの いくのIPA(トウガラシ ノ ビール)

永井みみ「ミシンと金魚」

第45回すばる文学賞受賞作

認知症を患うカケイは、「みっちゃん」たちから介護を受けて暮らしてきた。ある時、病院の帰りに「今までの人生をふり返って、しあわせでしたか?」と、みっちゃんの一人から尋ねられ、カケイは来し方を語り始める。父からは殴られ続け、カケイを産んですぐに死んだ母。お女郎だった継母からは毎日毎日殴られた。兄の勧めで所帯を持つも、息子の健一郎が生まれてすぐに亭主は蒸発。カケイと健一郎、亭主の連れ子だったみのるは置き去りに。やがて、生活のために必死にミシンを踏み続けるカケイの腹がだんだん膨らみだす。そして、ある夜明け。カケイは便所で女の赤ん坊を産み落とす。その子、みっちゃんと過ごす日々は、しあわせそのものだった。それなのに-----。

暴力と愛情、幸福と絶望、諦念と悔悟。絡まりあう記憶の中から語られる、凄絶な「女の一生」。(解説より)

死を目前に控えた認知症の老女の語りが、独特の文章で繋がっていきます。悲惨な内容ですが、

ユーモアとリズム感があり一気に読めます。

 

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