ヱビスフォト

ken_pro
2025/10/28 06:03

読書のあとのYEBISU BEER

窪美澄「給水塔から見た虹は」(2025年・P384)

中学2年生の桐乃は、団地での暮らしに憂いていた。
郊外にある古い団地群には、様々な国にルーツを持つ人が生活している。そのせいか桐乃のクラスは衝突が絶えず、ベトナム人のクラスメイト・ヒュウがいじめの標的になっていたのだ。
家に帰っても、母の里穂は団地に住む人々を国籍問わず日夜助けており、「娘の私より、他人を優先するんだ」という思いがどうしても消えない。この場所で生活することに対する桐乃の嫌悪感は、日々強まっていく。
そんな中、中学校で起きたとある出来事をきっかけに、桐乃はヒュウと話すようになる。ヒュウは、理由は違えども、桐乃と全く同じことを望んでいた。
「この団地から出て、遠くに行きたい」と。はじめてできた友達、母とのすれ違い――。
桐乃・ヒュウ・里穂のそれぞれの視点から、社会に蔓延る様々な分断に翻弄される2人の“こども”が少しずつ“おとな”になるひと夏を描いた、ほろ苦くも大きな感動を呼ぶ、ある青春の逃避行。(解説より)

桐乃・ヒュウ・里穂の視点で物語が進み、それぞれの考えが誤解を生んで悩み、共鳴をして涙します。久しぶりの窪美澄さんの小説は面白く、給水塔が見える団地の情景が浮かび上がりました。

読書のあとは美味しい、YEBISU薫満つ。

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